2015年11月18日

ソーセージの発癌性はある


 先月のこと、世界保健機関(WHO)の専門組織が、ソーセージなどの加工肉に発がん性があるとの調査結果を発表したことが波紋を広げている。
 WHO専門組織、国際がん研究機関(IARC)は、加工肉の消費が大腸がんを引き起こす「十分な証拠がある」とし、IARCによる発がん性の評価5段階のうち、喫煙と同じ最も高いレベルに分類した。

 消費者はショックを受け、不安が拡大し、食品業界から反発の声も沸き起こった。慌てたWHOは、「一切食べないよう求めているわけではない」と弁明に追われた、とのことだ。

 これを受けて、日本の木っ端役人も対応に追われたらしく、国立がん研究センターに、「日本人の平均的な摂取の範囲であれば、加工肉が(大腸がん発生の)リスクに与える影響はないか、あっても小さい」との見解を発表させた。
 「あっても小さい」とは曖昧で実に無責任である。「小さい」とは具体的にいかなることを言うのかわからない。
 食肉加工業界も、日本ハムの社長が「基本的に日本人の摂取量では問題ない」との見方を示している。は?なにを根拠に?

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 毎日新聞2015年11月5日付の記事。
 『ソーセージ大国、怒り WHO機関「発がん性」 職人、科学者ら反論』
 
【ベルリン中西啓介】世界保健機関(WHO)の専門機関がソーセージなどの加工肉に発がん性があると発表したことに、ドイツで反発が広がっている。食肉業界だけでなく、ノーベル医学生理学賞受賞者も「ずさんだ」と批判するなど、国民食に注文を付けられたドイツ人の怒りは収まる気配がない。

 「詳細な研究内容を示すことなく発表したことに憤りを感じる」。独精肉職人協会副会長のクラウス・ゲルラッハさん(64)は語気を強める。

 2008年のノーベル医学生理学賞受賞者で元独がん研究センター所長のハラルド・ツア・ハウゼンさん(79)も「赤身肉や加工肉の発がん性は20年以上前から指摘されていた。必要なのは肉の何ががんを起こすのかという研究だ」と批判。さらに、大腸がんリスクについて「世界中の人が、加工肉に含まれる発がん性物質を摂取している。だが、それによってがんになっている人は、ほとんどいない。加工肉を毎日50グラム摂取することで発症率が18%上がるなどと言えるはずがない」と述べた。

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 この問題は、本ブログではすでに取り上げている。ソーセージ、ハム、ベーコン、魚肉ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、はんぺん、バター、マーガリンなどはIARCに言われるまでもなく、発癌のリスクは高い。

 食肉業者が猛反発するのは死活問題だからわからないではないし、マスゴミは食肉業者が広告主だから擁護に回るのだ。マスゴミは本当のことは書かないし、むしろ積極的に無害を言い募ることになる。

 毎日新聞の記事にある、ハウゼンさんが「赤身肉や加工肉の発がん性は20年以上前から指摘されていた。必要なのは肉の何ががんを起こすのかという研究だ」と批判したとあるが、これは正しくない。所詮は素人だ。
 
 多くの研究者はこのハウゼンさんと同じ思考をして、どの物質が発癌性物質かを特定しようとする。わかったらその物質を取り除けば安心だ、というのだろう。
 新聞記者もそうだ。だが、それは徒労である。

 本ブログで何度も書いてきたが、加工した食品はなんであれ、発癌のリスクは高まるのである。
 また肉や魚の切り身であっても、肉は大量の薬品を食べさせられた家畜あるいは野原のなかでなく屋根のある小屋に押し込められていたものも危ないし、魚は養殖ものはリスクがある。

 豆腐でいえば、冷や奴や湯豆腐まではいいが、揚げたり煮込んだりすると発癌食品に変わっていくのだ。
 なぜかは生命体の“磁性体”が失われるからである。

 たまに牛肉を食べたければ、国産の牛舎で閉じ込められた霜降り肉は避けなければいけない。オーストラリアあたりで野っぱらに放牧された牛の肉の赤みを厚く切って、焼き加減はレアで、低温で焦げ目はつけずに焼き、すり卸したタマネギを添えて、添加物のない醤油を垂らして食うならば、まあなんとか…である。

 ミンチやすき焼や牛丼用の薄切りにした牛肉は、空気にたっぷり触れて酸化するので、これまた危なくなる。安いからと、ランチに牛丼ばかり食べている人は、せっせと発癌性たっぷりの食品を口に入れている。

 ソーセージやハムは、いくら業者がいきり立とうとも、かなりの加工食品だからいけない。そもそも豚の飼育が添加物まみれで運動不足、それをミンチにするからどっと肉が酸化する、それを腸詰めにして蒸したり焼いたり…。

 それに本ブログで紹介したが、哺乳類の肉は〈生命の歴史〉では人間に近いからリスクが高まる。人間から遠い種の鳥や魚のほうが安全である。
 だから肉の中のどんな物質に発がん性があるかどうかの問題ではない。

 で、ここまでは肉なり加工食品のリスクに関してであるけれど、じゃあ…と不思議に思わなければならないことがある。
 それは当然に、ソーセージが体に悪いというなら、どうして誰もが癌になるわけではないのだ?と。
 ハウゼンさんが言う「世界中の人が、加工肉に含まれる発がん性物質を摂取している。だが、それによってがんになっている人は、ほとんどいない」という反論がそれだ。

 新聞記者は、この反論を右から左へ伝えるだけでなく、きちんと解説しろよ。読者にはわからないままじゃないか。
 国立がん研究センターは「日本人の平均的な摂取の範囲であれば、加工肉が(大腸がん発生の)リスクに与える影響はないか、あっても小さい」との見解を発表したそうだが、これは間違いではないが、答えとしては落第だ。

 この理屈は放射能の値の問題とまったく同じである。放射能の多寡、発癌物質の多寡の問題としてしか語れていない。これを称して弁証法がない、と言うのである。
 対立物の統一で考えれば、発癌物質や放射能の量とともに、それを受けたり摂取したりする人間のほうの条件も考えなければならない、ということである。

 こういうことだ。いくらソーセージを毎日食らっても、自然に触れる、高層階に住まない、茶髪にしない、人工添加物を口にしない、体を冷やさない、水道水は自然に戻して飲用する、夜更かししない、化学繊維の下着は着ない、よく運動する、よい睡眠をとる、…といった健康を害しない生活を送っていれば、少々の毒であるソーセージはまあなんとか…になる。

 それに、食事は〈生命の歴史〉を辿るべく、単細胞、カイメン体、クラゲ体、魚類、両棲類などのように、すべての段階の生命体を摂取していれば、少々の毒は排除できるだろう。

 一日3食、全部にソーセージをたっぷり食べ、それを何十年続ければ、これは恐ろしい量質転化を起こしかねないが、おそらく月に1回くらいならさほど問題にはならない。
 ほどほどなら、肝臓がちゃんと働いてくれて、毒素を消してくれる。その肝臓が処理し切れないほどにソーセージであれなんであれ人工的な食品を摂取するのが危なくなる。

 現代社会は、それなりに人工的な物質にあふれていて、逃げも隠れもできない。日本人はそれなりに順応している。だからあまりに自然的な生活だけを追求するのは却って危険である。
 だからたまに、人工食品を「体慣らし」程度に摂取しておくのも悪くはない。

 人間はウイルスとも黴菌とも共存しているのであって、適当に人体にいなければならないものである。そのバランスを壊すような生活をするから、例えばインフルエンザに感染する。
 以前ブログに書いたが、手や顔をあまりゴシゴシ石鹸で洗うのはいかがなものかと。トイレでもウォシュレットで肛門をあまりにきれいにしすぎると、肛門から雑菌がいなくなって却って菌類のバランスを崩すのだ。

 さらに言えば、仕事がデスクワークが中心の人も危ない。同じ生活条件で、ソーセージを食べることにして、肉体労働者とデスクワークの人とを比べたら、デスクワークの人が発癌する危険性が高くなるだろう。これを説明するのは大変だから、また機会があれば…。





posted by 心に青雲 at 04:00| 東京 ☁| Comment(0) | エッセイ | 更新情報をチェックする