2016年01月25日

アメリカ刑務所残酷物語


 網走刑務所の受刑者が「刑務作業」で飼育した「網走監獄和牛」の品質がいいとかで、評判だとか。私はそんな癌のもとになるような高級肉はただでもらっても絶対に食べない。
 受刑者が娑婆に出た時に手に職をつけておきたいとの意図で行なわれている。私たちにはまあ、納得できる話である。
 しかし、これが一大企業化されると、いささか趣が変わってくる。

 私もときどき利用する喫茶店にスターバックス・コーヒーがある。
 あのコーヒーなどのパッケージは、アメリカの刑務所で作られている。更正のため、出獄してからの手に職をつけるためならいいんじゃない? と思われるとしたら、それはアメリカの事情を知らなすぎる。

《アメリカの刑務所で作られる意外なアイテム13選》というサイトがある。多くの企業が人件費の安い刑務所に仕事を依頼している。
https://gakumado.mynavi.jp/gmd/articles/7890
 その例をいくつか引用しよう。
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「軍用防護用品」
 米国防省、刑務所製品の売り上げの実に6割を占めるお得意様なのだとか。防弾チョッキや軍服など様々な製品。
「警察用備品」
 警棒や銃器を下げるためのベルトや制服、そして手錠。
「マクドナルドの制服」
「家具」
 政府関連ビル・施設に収められる事務用イスや書棚、机など。
「マイクロソフトのソフトウェアのパッケージ」
 マイクロソフト社の下請け企業がやはり低コストのため受刑者にマウスやソフトウェアのパッケージを発注。

「ホンダの車パーツ」
「セクシーブランドの下着」
「義歯・入れ歯」
「ジーンズ」
「刑務所内備品」
 所内で使う制服やホウキ、マットレス、さらにはトイレなどまで自分たちで制作するのだとか。

「コールセンター」
 州政府の各種お役所などのほか、日立やマイクロソフトなどといった企業の利用も。
「加工肉」
 自分たちのために農・牧場を運営するだけでなく、一般市販用の加工肉も製造。

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 で、このサイトの紹介者は、「実に様々な製品の製造に従事する受刑者たち、出所する頃にはみなそれぞれのプロフェッショナルな技術を持ち合わせているようになるのでしょうか…?!」と書いているが、実はそうは問屋が卸さない。

 アメリカ人はなんといっても残酷な連中で、毎度言うけれど、インディアンの虐殺から始まって、黒人や支那人苦力をドレイにし、他国を侵略してきたというDNAがしみ込んでいる。
 日本の刑務作業の主旨とはひどく違うのである。要は安価な労働力として受刑者を利用している。

 以下はおおむね増田悦佐氏の新著『アメリカの巨大な病』から教えられたものだ。
 アメリカでは刑務所は民営化が進められている。刑務所が民営化されるとは、企業体として収益をあげなければならない。いつ犯罪が発生するか分からないのでは経営が不安定である。世の中が治安が良く平穏になって犯罪が減っては困る。
 そこで入居率がどんなに低くても90%入居している分の運営費を委託してくる行政が払うという契約を交わす。

 行政側は民営化した刑務所に常に90%入居している分の費用を支払わねばならないから、空き部屋にしておいたら損だとなって、入居者を増やす算段をする。
 その一つの施策が「三振法」のような法律だ。三振とは野球のスリーストライク・アウトのことだ。

 「死刑または1年以上の刑が科される重罪(州によって違う)の前科が二回以上ある者が、3回目の有罪判決を受けたら、3回目がどんなに微罪であっても終身刑を科されるというもの」である。
 ストライク3(三振)になったら、死ぬまで刑務所暮らし。
 こんな仕掛けは、教育程度が低く貧しい黒人やヒスパニックは知らされない。

 虐げられた貧しい人たちをそのままに押さえつけている仕掛けの一つがドラッグであり、ジャズである。ジャズも聴きようではあるが、私は聴く気になれない。

 アメリカのなかでの人種別の収監人口比率で黒人はダントツで、4.7%、ヒスパニックは1.8%、白人はわずか0.7%である。黒人は総人口の約三分の一にも関わらず、収監されている者は半数かそれ以上を占める。それほどに黒人は逮捕される率も、長期収監率も高い。
 形を変えた黒人差別、黒人奴隷の継続ではないのか。

 世界レベルでも監獄に収監される人口はアメリカが群を抜いて多い。不名誉にも世界一。2014年末統計で、222万8424人もいる。2位の支那は約170万人、3位ロシア約67万人、4位ブラジル約58万人、5位インド約41万人……と続く。いずれも治安の悪い国ばかり。
 ちなみに日本は2015年9月時点で5万9千人ほどである。

 とりわけ黒人は犯罪が3ストライクで、死ぬまで安い労働力としてこき使われることになる。アメリカでは、黒人を差別し貧しいまま、教育しないままにしておいて、犯罪を犯させては、収監して低賃金で労働させることによって、一流企業が入所者を労働力として活用している。

 先に挙げた企業が収監者を活用するのは、普通の人の半分か四分の一の低賃金で働かせることができるからである。
 実際、「受刑者に渡る日給はわずか93セントから4ドルにとどまると言われている」と増田悦佐氏は書いている。アメリカの法定最低賃金は7ドル25セントだから、いかに低いか唖然とする。

 支那も受刑囚が圧倒的に多いのは、彼らを低賃金で働かせているせいだろう。どこの国でも「格差」は商売のネタである。以下も増田悦佐氏の本から引用。

 「しかも、受刑者は支給されるまずい食事以外の『贅沢品』は全部、刑務所内のバカ高い値段をつけた売店で買わされている」。「つまり刑務所産業が企業から支払われる賃金からピンハネしているというわけだ。そのためにも長期滞在してくれる刑務所暮らしの人、すなわち労働力を増やす方向になる」。


 こういう仕掛けをつくったおかげでアメリカは経済的没落を一定程度防いでいる。
 「昨今のアメリカ製造業の復活は、受刑者たちが異常な低賃金で働かされているからこそ実現したのだ。アメリカの受刑囚を企業に貸し出すときの労賃は、中国、ラテンアメリカは言うに及ばず、アフリカ最貧国とも勝負できる水準だ。製造業復活は、刑務所運営の民営化という現代奴隷制が生んだあだ花に過ぎない」


 このように「極論する人」がいると増田氏は控え目に書いているが、別の場所では以下のように厳しく説いている。
 
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 例えばエネルギー産業は、大昔から利権を確保して、その利権を大事に守り育てているために、相変わらず高い利益率が保たれている。結果的に、国民は高いガソリンを使わされ続けていることになる。しかし、アメリカのエネルギー業界は、中国の資源浪費経済でもっていた面が強いので、中国の資源浪費バブル崩壊によってそろそろ危なくなっている。

 アメリカの製造業の中で生き延びていけるのは、テクノロジーで何らかの特定のニーズを掘り当てて、ニッチ(市場の隙間)を確立した会社だけだろう。例えば、厳密には、製造業と情報通信産業であるマイクロソフトやインテルなどだ。

 このような技術的なニッチを持っている会社でも、アメリカ国内で大々的に製造工程を持っているのは刑務所の収監者を使って割安な労賃で作っているところくらいで、ほとんどの企業の製造工場は人件費の安い海外で作っているというのが実情だ。

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 われわれは、こういう国家とTPPを結んで、金儲けで勝負しなければならない。なんとおぞましい世界なのだろうか。
 そのうえ、テレビに出て来る経済評論家どもは、アメリカを見倣えと言い、コストを下げねば競争に勝てないと言う。その行き着く先がこの刑務所産業の隆盛であることは、奴らは決して言わない。

 先日も毎日新聞に、伊藤忠商事の社長へのインタビューが載っていた。アメリカの景気は堅調で心配ない、と発言。アホやん♪
 アメリカの経済がなんとかもっているのは、こういう受刑者を奴隷として使っているからだ。知っていてこいつもトボケている。

 日本でもよく「死刑」は残酷だ、アメリカのように「終身刑」を創設してせめて生かして罪を償わせるべきだと言う輩がいる。しかし、こうして見て来ると、アメリカがなぜ「終身刑」制度を設けているかが見えてくるだろう。囚人を奴隷として使役するためなのだ。





posted by 心に青雲 at 04:00| 東京 ☀| Comment(4) | エッセイ | 更新情報をチェックする