2016年08月25日

甲子園マネー事情の暗澹


 ネットの動画で「高校野球のマネー事情 甲子園出場にかかる驚愕の金額とは!?」を見た。
 甲子園に行くには大変なカネがかかるというのである。
 番組で調べたところ、交通費、滞在費、記念グッズ代、応援グッズ代、道具代、チケット代などがある。

 交通費は、選手の移動もあれば応援団の移動もある。
 応援団が甲子園に駆けつけるには、バスで移送しなければならない。甲子園の駐車場には大型バス100台分しかない。1校あたり割当は50台になる。関西圏から来るならいくらか経費は押さえられても、九州だの東北だのからバスを連ねて甲子園を目指すなら、とてつもない費用がかかる。
 平均して1校あたり1往復のバス代だけで1千万円かかるそうだ。

 滞在費は、選手の宿泊代だけでなく、試合がないとき(次の試合まで)は近隣の野球グランドを借りて練習しなければならないので、その借り賃や交通費、弁当代もかかる。甲子園に出られるレギュラーだけでなく、控え選手も練習の手伝いに来るから、相当数の人数になる。練習試合を組めば、相手校への謝礼や豪華弁当代もかかる。

 記念グッズとは、学校ごとに出場記念の何かメダルとかを特注するのである。それの専門の業者がたかりに来るだろう。選手だけではなく、学校関係者全員にということになる。寄付してくれた人へのお礼もあるなら、大変な額にふくれあがる。まして優勝したら、大盤振る舞いしたくなるに違いない。

 応援グッズは、スタンドで応援する人たちが手にするもので、メガホン、チアガールの衣装、団扇などがある。
 道具代は、選手のユニフォーム、ボール、バット、カバンなどになる。あの硬球は1個1000円する。
 さらに甲子園のアルプス席で観戦するためには、チケット代がかかる。へえ、私は学校の生徒なんかだと高野連がただにしているのかと思っていたが。

 ちなみに、甲子園のアルプス席は600円、外野席は無料である。他の特別席はこれの倍くらい。

 甲子園の初戦を戦うのに必要なカネは、1校1千万円ほどになる。その後、2回戦、3回戦と進むごとに、1試合あたり2000万円かかる。決勝まで行ったら1億4000万円に達する。
 学校はこういう特別の行事を賄えるほど資金は有り余っているわけではないから、全部を寄付に頼る。在校生、OB、近所の人たちに頼んで回る。甲子園に行けそうな強豪校は、予選が始まる前からOBらに手紙で寄付を要請する。そうしないと、甲子園出場が決まってからでは遅い。
 高野連からもらえるのは数百万円だという。

 それでも寄付金だけでは足りなくなるから、借金をするのである。
 関係者のうち会計を知らない者は、チームに勝ち進んでほしいと思うだろうが、カネを預かる人は、どうか初戦で敗退してくれと願うのではあるまいか。

 手束仁という人が『高校野球マネー事情』という本を書いている。私は読んでいないが、驚くような実態が語られている。
 甲子園に行けばかかる費用…だけではなく、普段どれくらいこの部活にかかるか。高校球児の保護者サイドが1年間に支払うお金は公立・私立でも差はあるし、甲子園を目指している学校か、そうでないかによっても違ってくるだろうが、平均すると年間23万2,082円がかかるという。

(※内訳は、部費:28,925円、父母会費:27,811円、ユニフォーム代など:43,885円、用具代:46,235円、遠征費:85,226円) 
 平均23万2,082円は選手個人にかかる費用であって、部活の運営費はまた別途。運営年間費用は、概略、公立校の年間予算平均額が42万600円。私立校の年間予算平均額が77万3,000円となっている。

 これは平均なのだから、甲子園の常連校ともなれば、目もくらむような額になっているのだろう。
 50人もの部員がいたら、試合に出られる20人程度の生徒はまだいいが、補欠にすらなれないで、球拾いだけで3年間を終わる子が多数いる。部活なのに、こういう差別をしていいのか。

 今夏の大会では、大分高校の女子マネージャーがグランドに出たのはけしからんとなったそうだが、多くの野球部は、女性をマネージャーという名をつけて雑用をやらせる。部活だからただ働きだ。おむすびを用意したり、お茶をいれたり、用具を整えたり、弁当を手配したり…。当人たちがやらせてくれと言うからやらせていると監督らは言うだろうが、ただ働きをさせているだけではないか。

 こういう実態なら、親も子も野球で夢を実現したいと思い、必死の努力を傾注することになる。多くの野球少年は学業そっちのけで野球に打ち込む。プロになって稼げれば億万長者になれると思うのだろうけれど、そんなに甘い世界ではない。おそらく10万人に1人しかプロで稼げるようにはなるまい。

 で、挫折したあと、野球しかやってこなかった青年は社会を知らない、頭も悪い。これだから、野球賭博に手を出すバカも出る。
 華やかなプロの世界があると思えばこそ、親子で夢中になるんだろうが、浅はかである。
 まして、自分の野球での夢が、多くの人の莫大なカネで支えられている実態を考えもしない人間になる。「俺が応援団なんかを甲子園に連れてきてやったんだ」と傲慢になるだけ。

 一言で言って、これはもうとっくに「部活」の域ではない。巨大ビジネスである。むろんマスゴミもそれを主催し利権にしゃぶりつく。高野連も利権なのだろう。教育的にも問題がありすぎだ。こういうものを「経済効果」があると言う向きは狂っている。




posted by 心に青雲 at 04:00| 東京 ☁| Comment(2) | エッセイ | 更新情報をチェックする