2016年12月02日

スイスという国の嫌らしさ


 カミーユ・ゴルジェは第二次世界大戦中、駐日スイス公使を務めた。1924年から27年まで日本の外務省に法律顧問として赴任。日本が気に入ったのか…(そんなわけないだろう)、13年後の40年に希望して公使として再び日本に着任した。戦争直前だ。41年に日米戦争が始まると、スイスが中立を維持したため終戦まで赴任を続けた。軽井沢の別荘に疎開していた。終戦後はスイスに帰国し、1978年に亡くなった。

 そういう人物として紹介されるが、中立国スイス公使の立場であったから、日本側とともに交戦相手の米英などの利益代表となって、双方の主張をひそかに相手に伝える仲介役も担った。
 最も有名なのは、終戦秘話に属するもので、ゴルジェは終戦工作をする日本側の以降を受け、日本が終戦の条件として出した「国体護持」すなわち天皇制の維持を、連合国が承認するかどうかのルートを受けていた。

 ゴルジェが「軽井沢は爆撃するな」との謎の電文(暗号)を、ドイツ降伏後の1カ月あとから、何度もしきりに(19回も)連合国宛てに発信していた。この謎の電報のやり取りが、日本の降伏を伝えたと考えられている。
 中立国スイスが米英から国体護持ができることを聞き出して日本側に伝え、昭和天皇が確信をもって終戦決断の根拠の一つとした可能性があるらしい。

 実際、1945年8月14日、日本政府はポツダム宣言を受諾する旨、中立国スイスを通じて通告し、それから勅語を発布することで降伏した。
 スイスが中立だなんてことは、半ば嘘である。テメエたちの利益になることなら平気で、二股かけたりスパイをやったりしたに決まっている。

 ゴルジェ駐日公使は、1945年10月にマッカーサー司令官を訪ねて会談している。マッカーサーは会談で、戦後の日本が安い製品をアジア各国などに 大量輸出する「経済面での新たな侵略行為」に懸念を示した。
 日本の輸出大国化を阻止するため、労働組合の組織化を通じて労働者の貸金を上昇させ、 日本製品の価格を引き上げる必要性を説いたと。

 またマッカーサーは第二次大戦中の「日本軍の 残虐性」を強調し、敗戦後の日本が「軍事的には重要でなくなることを保証する」とのたまい、国際社会で 悲惨な地位を占めることになろうと述べた。
 これはゴルジェがスイス本国へ送った報告書に書かれている。
 マッカーサーのならずもの性が発揮されている証言は、よく知られるけれど、一方でゴルジェがなぜマッカーサーに会いに行ったかというと、スイスの国益のためである。
 
 まずは、マッカーサーは日本の時計工業を潰してくれと頼んだのである。それにマッカーサーが応えて、労組を強くして賃金を上げさせることで、国際競争力を殺ぐことにしたのだ。命令された幣原喜十郎に労賃を上げさせた。
 時計工業では、日本がのしてきてスイスを脅かしはじめていた。
 こういう妨害にも負けずに、日本の時計工業はよく頑張った。

 それからゴルジェはまたマッカーサーを訪ね、あろうことか交戦していないのにスイスは対日戦時賠償請求を算段した。
 当時のカネで11億円をスイスは、どさくさに紛れて奪っていった。
 だから。われわれが子供のころにスイスは永世中立国です、日本も真似ましょうなどと学校で教えられたが、こういう邪(よこしま)な国なのである。

 そして戦後70年を経て、悪をやったスイスは時計工業において日本に負けた。また、マッカーサーが諮った日本の産業の弱体化も、むしろ逆効果で、日本はまたたく間に経済復興を成し遂げ、世界2位のDGPを誇るまでになった。
 
 これは端的には日本人が悔しさをバネにがんばったとも言えるにしても、ゴルジェやマッカーサーの経済知識はお粗末だっからにほかならない。
 マッカーサーは、日本は戦争で産業が壊滅してもなお潜在的な輸出競争力は残っていて、危険だと指摘した。日本が廉価な粗悪製品でアジア市場を独占することに懸念を示し、「賃金や生活水準を向上させるために労働組合を組織し、日本の労働者を奴隷状態から解放すれば、日本の製品はコストが上昇して他国の製品と競争することはできなくなる、と踏んだのだ。

 経済に素人の軍人だから当たり前とは言え、こういうイジメをやれば日本は負けると思うのは浅はかであった。
 当時、アメリカは圧倒的な工業力があった。自信満々だったろう。これで邪魔な日本を叩き潰した、と。日本はアメリカからすべてを輸入しなければならなくなり、アメリカは日本をアジア市場から駆逐して悠々と金儲けに勤しめる、というつもりだった。

 アメリカが対日戦争を企んだ背景もそうであったろう。
 だが、70年たって、事態はまったく当時のアメリカの予想を裏切り、日本は見事に復活した。アメリカはなんと巨大な貿易赤字で苦しんでいる。
 今度大統領になるトランプも、マッカーサーと同類の経済オンチで、貿易不均衡がアメリカの経済力を殺いでいると思い込んでいる。

 敗戦によって、日本は大打撃を蒙ったし、技術力も欧米に圧倒的に差をつけられていた。
 なのに、日本は高度経済成長を遂げることができた。
 その訳を、明日は稿を変えて考えてみたい。





posted by 心に青雲 at 04:00| 東京 ☀| Comment(2) | エッセイ | 更新情報をチェックする