2012年12月21日

名古屋における「四」と「八」の民の違いの実態(1/4)


《1》
 「苗字の仕掛けにみる日本の素顔」の3回目に、名古屋市の市章「まる八」について紹介した。
 名古屋市は「八=平家系=赤」の民の在所であった。だから今も「まる八」が市のマークとして残っている。「四つの騎馬系=源氏系=白」の民が名古屋の外に居住させられていたものの、名古屋が暮らしやすいからと「八」の仲間に入れてもらおうとずいぶん押し掛けた、と八切止夫は説いている。

 名古屋市の東にある天白区とは、「八」の地域が「四」の民を入れてやるにあたって、天白川で禊ぎをさせられたのが由来である。本当は「転白」で、白の源氏系が転じて赤の平家系に入ることであった。天白川も本来は転白川である。
 したがって名古屋は「八」と「四」が混在して共存する地域となった。
 これが八切止夫の解く「四」と「八」の実例である。

 以前、拙ブログに「苗字の仕掛けにみる日本の素顔」を掲載したときに、名古屋にお住まいの女性から、これにまつわる実に面白い実態を伺った。いずれ掲載しようと思いつつ年月が経ってしまったが、この機会に取り上げてみたい。
 書いた方が特定されては…と思ったが、もう時効だろう。
 場所は名古屋市緑区の桶狭間周辺である。その北側の隣り町に有松という町がある。緑区は天白区の南側に位置する。
 天白川からは東側になる。

 この有松と桶狭間の住民のあまりの違いに驚かされる。「四」と「八」が混在して…と書いたが、実態は混在ではなく、隣りどうしでまったく違う風習を守り続けているようなのである。
 地図で見ると有松は東海道に面した宿場であった。桶狭間は誰でも知るように、織田信長の「桶狭間の戦い」で有名だが、昔は田園地帯であった。このあたりは名古屋市ではあるが、東南のはずれである。

 「苗字の仕掛けにみる日本の素顔」を読んでくださった方はもうお分かりのように、有松は宿場であり馬を扱う運送業の人間=「四」の民がたむろした地域である。面白いことに、有松のすぐ東側には「中京競馬場」がある。つまり、馬を扱う「四」の民がいた辺りに競馬場を造ったのではないか。

 一方、桶狭間は農村、つまり農業をなりわいとした「八」の民がたむろした地域なのである。信長や秀吉はこういう「八」の民の風習をかかえた農村から出てきたものと思われる。

 では、名古屋在住の方からの抱腹絶倒の実態報告を紹介しよう。たくまざるユーモアがある文章で、笑えることまちがいなしである。

   *    *
(1)
 桶狭間では…、先生の言う事をよく聞きましょう、は何処の学校でもまあ、そうだと思いますが、お年寄りの意見に絶対従いましょう、になります。
 これは家でお年寄りの意見に絶対的に従っているからこそ、勉強するより作物を作る方が大事、とか女が知恵をつけるとお嫁にいけない、とか学問は時間の無駄、とかの意見が重要視されて教師を軽視する、勉強は必要ない、という桶狭間の人の考え方につながります。いまだに、です。

 そんなことは私にすら分かるのに、教師にわかっていない時点で駄目だと思いました。おばあちゃんの知恵袋とか言いますが、盲目的に従ったのではだめでしょう。
 実例を挙げれば…、軽い火傷をして、祖父母の忠告に従って味噌と醤油を練り混ぜたものにからしを加えたペーストを塗って治療して、化膿して酷くなって植皮が必要なほど悪化させた子がいました。

 桶狭間の人は基本的に医者は嫌いなので、根性で直す、とかも好きなのです。西洋医学の盲信も危ないですが、根性だけではどうにもならない場合も多いです。虫垂炎だったのに、根性で治せ、との祖父母の忠告に従ったら炎症が酷くなって腹膜炎になって一ヶ月入院、とか。
 乾布摩擦も大好きで、外に裸で出てやっているお年寄りも結構見かけますが、インフルエンザになってしまったのに医者に行かずに乾布摩擦をいつものようにやって悪化させて倒れて長期入院とか、根性や迷信が大好きです。

 古きよきものは大切ですが、古き悪しきものも多分にあると思います。その見極めが出来ていないのです。
 もし私が桶狭間の典型的な古典的農家に生まれたら、キレていたとは思います。土間で男衆の食べ残しを食べ、土間にゴザを敷いて寝て、誰かの着古しを修理したような服を着て、みたいな生活は、見ているだけでもむかむかするようなところがありましたから。
 私はもともと男女同権的な有松的な考えの新興住宅地に育ったからで、産まれた時からそういう農家なら従ってしまうものなのかも知れませんが。

(2)
 桶狭間のプータローおにいちゃんたちについてなんですが、彼らの家は大抵かなりの土地を持っているので、宅地需要が急増しているために売ればかなりの大金になるのでなにも困る事は無いのです。
 そういう家の人はお年寄りから子供(中学生以上位かな)まで地主様とお呼びしないと激怒されますよ。

 お前の家の建っている土地はうちが売ってやった、なんて威張られてへいこらへいこら、と無料で毎日のように畑仕事や雑用をさせられている奥さんなんて見かけます。土地を買ってやったって威張ってやってよいのではないか、と思います。なんか変ですね。

(3)
 桶狭間の人には一度も働いた事が無い人とか、女が働くのはとても悪い事で実際に自分が働きに出ないといけないようになったら舌を噛んで死にます!なんて公言している人がいます。
 そのくらいなので、仕事で忙しいとかそういうのも全く通用しないですね。死にます!って言ってる人もその位困ったら絶対死んだりしないでどこかに働きに行くと思いますけどね。

 なので、私に限らずどこかで仕事をしているような人は、仕事するくらい暇があるのだから、私たちが仕事を与えてあげる、それを断るなんて何事!という事になってその辺の農家の長老さんや民生委員だかの人が、やらなくて駄目じゃないか!などと説教しに御登板下さると言う事になるのです。

 有松だと元気なら仕事しなくっちゃ、みたいな感じなのですが、ここでも桶狭間との違いが有りますね。パートで働いてさえ、桶狭間の人たちには理解出来ない悪い宇宙人か何かに思われているでしょうね。本当にフルタイムで遠くまで働きに行っていて頼まれごとを全部持ち込まれるような人は、もっと堪ったもんじゃないでしょう。

 桶狭間の女性のなかには「私は専業主婦だから家を空けられないので犬の散歩をお願いします」という人がいます。勤めに出ている私のところに当然といった感じで犬を連れてきます。有松の人間としてはとうてい理解出来ません。
 桶狭間では、ウチの主人は偉いのでそんな事(家事や犬の散歩)はさせられない、子供は男の子だからそんな雑事はさせられない、自分はお姑さんやお舅さんが許可しないので家から出られない、目上のお舅さんやお姑さんにはそんなの頼めるはずが無い、というのが理由だそうです。
 呆れます。飼い主が散歩もできない犬なら保健所に持っていくのが一番良い解決法だと思いますが、そんな事を言ったら、桶狭間の人からちょっと糾弾が鬱陶しいので言えません。



 (明日につづく)




posted by 心に青雲 at 06:54| 東京 ☀| Comment(0) | エッセイ | 更新情報をチェックする
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