2013年03月26日

バカ・アホの分布


 昨日のブログ「沸点の低い大阪人」で、大阪は異質と書いたけれど、大阪のなかでも、梅田の北、茨木、豊中、吹田、箕面の北摂と言われるあたりの人間なら、スーパーのレジで「八ッチャッチャ、八ッチャッチャ」と叫んで飛び跳ねる奇行はなさそうである。

 私は行ったことも住んだこともないが、八尾、岸和田、長居あたりはかなり怖いところらしい。西武百貨店に勤めていた友人に聞いた話では、よりによって西武が八尾に支店を開設した。そこの支店長になると大変なことになる。客のクレームと言うか脅しが強烈で、耐えられなくなり病院に入る者もいたそうだ。その友人も、もし八尾に転勤になったら、会社を辞めると言っていた。

 八尾は、河内というガラが悪いので有名な土地のなかでも最悪の土地らしい。
 あのほとんどヤクザにしか見えない野球選手だった清原が、岸和田出身であって、テレビでみかけるたびに不愉快になった。
 
 真奈美様は「大阪の出身の女性同士のケンカやなんかの罵り語もものすごく下品でビックリなのですが、これを書いてしまうと人格を疑われるような感じなので、止めておきます」と書かれていたが、ネットで調べると、以下のような実例があった。

 「何さらしとんねん、このアホ、ボケ、カスぅ!
 大人しぃしとるからっちゅうて、なめとんかぁ?
 ケツの穴から手ぇ突っ込んで、奥歯ガタガタ言わして欲しいんかぁ!!??」

「何さらしとんじゃワレ、いてまうぞコラッ」

「このくそガキャ舐めとんか、つめたろかアホンダラ」

 「ら行」は巻き舌でやるのがコツだそうだ。たしかに下品である。
 映画やドラマで風体の悪い男がよくこういう台詞を吐いている。
 こういうと大阪の人は反発するが、以前にも書いたが私は上品な大阪弁は好きである。芸人になるような輩や、特別ガラの悪い土地の人間が虚勢をはって、わざと汚い言葉を遣うのに辟易するのだ。
 大阪弁には大別して2種あって、「船場ことば」と「それ以外のことば」になるとか。前者が東京でいう山の手言葉。後者が「べらんめえの下町言葉」に相当する。

 谷崎潤一郎の『細雪』は、会話がすべて船場ことばであった。映画にもなったが、あれなら嫌悪感は生じない。
 「船場ことば以外」のなかにもいくつかあり、なかでも際立って乱暴に聞こえるのが河内弁である。真奈美さんが驚きあきれた大阪の出稼ぎ人たちは、おそらくこの河内あたりから仕事にあぶれてやってきたのであろう。

 ネットで調べていたら、大阪ではアホが一般的だが「バカ」と言った場合はアホよりきつい意味で、相当本気の罵倒語になるそうだ。広島では逆に「バカ」ならまあいいが、「アホ」と言うと相手は本気に受け取ってしまうらしい。
 神戸だいすき様の神戸は「だぼ」というようですね。
 東京だと、ごちゃまぜというかそれほどのきつい区別はされていないようだが、「バカ」には言いかたによって罵声から愛情表現までさまざまなニュアンスがあるが、「アホ」はあまりニュアンスの違いはない。

 よく関東では「バカ」関西では「アホ」がつかわれると言われるが、そう単純なものではないらしい。どういう分布になっているかは、昔から誰もが結構関心があったようである。私の経験でも例えば関西の子が関東に転校してくると、言葉の違いに驚き、どうして? と疑問が湧いたものだった。その一つが「アホ、バカ」である。

 『全国アホ・バカ分布図』という本があって、この本は関西圏の番組が発端となって調査され、まとめられたものである。結局「アホ」と「バカ」の境界線は、岐阜県不破郡関ケ原町大字関ケ原・西今須にあるそうである。とはいえ、名古屋では「タワケ」というとか、九州では「バカ」がつかわれるとか、興味深い(?)事実が明らかになってきているとか。

 以下のサイトで、その分布図の一部が見られる。
http://www.geocities.co.jp/Hollywood/7779/ahobaka.html

 『全国アホ・バカ分布図』によると、罵倒語では「バカ」が一番全国に流布している。分布は「県」や「藩」よりも古代以来の「国」によって分かれているらしい。ほかにも、鎌倉時代までは「アホ」も「バカ」も使われていなかった。「アホと賢い」、「バカと利口」はセットになっていた。かつて「バカ」は「人がしでかすでたらめ」を意味し、単独では相手を罵倒できなかった。関西では「バカ」は使わない(?)が、「バカモン」「バカタレ」を使う。などなどが解明されたそうだ。

 この「アホ(阿呆)、バカ(馬鹿)」について八切止夫はこう説明する。馬鹿は馬も鹿もケモノゆえ、これらを扱う源氏系(白、四つ、騎馬民族系、北方系)の民族への蔑称である。阿呆は「あ」が付くのでこれは平家系(赤、八つ、海人族、拝火教徒、南方系)への蔑称になる。
 もう一つ、タワケは岐阜から広まったようだが、これは「他外」の意味になるそうである。問題外の人間みたいなニュアンスか。

 八切止夫の説は大変興味深い。バカ、アホ、タワケ、トンマなど罵倒語がこれだけ豊富なのは、日本が他民族国家だからにちがいあるまい。






posted by 心に青雲 at 07:30| 東京 ☀| Comment(10) | エッセイ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
清原和博は在日だという説もありますが本当でしょうかね?
Posted by ヨウイチ at 2013年03月26日 21:12
存じません。

ですが、そういうお尋ねより、本稿の中身について、意味のある批判や提言や、感想をお寄せいただければ幸いです。
Posted by ヨウイチ様へ(ブログ筆者です) at 2013年03月26日 21:46
私は神戸出身ですが、テレビでいわゆる「芸人」が使っている関西弁といおうか、大阪弁といおうか、あの汚い言葉が嫌で嫌で仕方がありませんでした。
私自身普段からあんな汚い言葉を使ったこともないし、周りの友人、知人(大阪、京都、奈良、滋賀)も使っていません。

大阪だっていろいろな言葉があるのに…と悶々としていたところ今回、船場弁のことを書いてくださり、ちょっとホッとしました。

数年前、日本から離れたタイのバンコクのとある場所で聞くに堪えない汚い関西弁もどきを使っている若い女性に出会い、思わず「出身はどこですか?」と尋ねると「埼玉」と答えるではありませんか。

埼玉弁を隠したいのか、はたまたノリがいいからテレビで聞き覚えた関西弁を使っているのかは不明ですが、関西出身の私としては「やめて!その汚い言葉が関西弁だと勘違いされるじゃない」と本気で怒りたいたい気分になりました。

テレビの芸人たちも全て関西出身ではなく、見よう見まねであの汚い関西弁を使っているのでしょう。

このブログの関西以外の読者の方も大阪って何て恐ろしいところかと思われているかもしれませんので書かせていただきますが、私は関西に住んでいた数十年、大阪にも何度と足を運びましたが、こちらで紹介されていたような変な人に会った記憶は殆どありません。

はっきり言ってそういう変な人の多くは、いわゆる“普通の人”ではないのです。

大阪にも関西にも普通の人はたくさん住んでいるということをわかっていただきたいと思います。

ただ男の人は「生まじめ」な人より「ノリのいい人」が断然モテることは間違いありません(笑)。
Posted by Y.N. at 2013年03月27日 01:22
Y.N様

はい、ブログで紹介した名古屋の大阪人たちは普通の人でないことは承知しています。名古屋にとりわけ変な大阪人が来ていた、という話です。

大阪には私も何度か行きましたが、普通でしたし、なによりうまいものが多いのは魅力でした。
庶民の食べ物として、うどんやたこ焼きは関東にはないものですね。関東煮は最高です。

スポーツ新聞が、野球の監督や阪神の選手の談話を、本人は標準語で答えているのに、わざと関西弁に直して記事にしますね。
野村監督や星野監督がとりわけひどいですね。「〜やったな」などと…、気の毒です。
関西弁にしたほうが、なにか凄みがでるという狙いがあるんでしょうね。


Posted by Y.N.様へ(ブログ筆者です) at 2013年03月27日 15:15
思い出しました。
「ダボ」という言葉は、小学校の高学年男子ぐらいから言うようになりましたが、あれは「どあほ」を、短絡させたことばで、あほの最上級ですね。

もともとは、河内弁かも。

阪神間は、狭い街ですが、実は言葉は微妙に分かれています。

夙川から六甲の間が、もっとも品の良い地域です。
その両側に行くと、違ってしまいます。

「〜でしょう?」「〜よ」というのは、この夙川・芦屋・岡本・御影・六甲だけで、それ以外では、女の子でも「〜やろ?」「〜やで」と言います。

神戸に住む人にしかわからないローカルネタです。

ちなみに私は、大阪の人情が好きです。
神戸の方が、取り澄ましています。
ときどき神戸っ子であることはさびしいです。

隣は何をする人ぞ・・・と、遠慮して、入ってきません。

大阪なら、気になったら、泥足で座敷にでもかけこんでくれそうです。

Posted by 神戸だいすき at 2013年03月30日 15:46
そうですか東京の人間としては大阪の人情は好きになれないです。
それほど経験はありませんが…。
私は東京でも山の手ですから、下町の人情の濃さは好きではありません。

「取り澄ましている」のかもしれませんが、人間としてのプライドがある、だから人と馴れ馴れしくしない、そうありたいものです。
Posted by 神戸だいすき様へ(ブログ筆者です) at 2013年03月30日 19:37
まあ、大阪の人情にどっぷりつかって暮らしているわけではないので、なんとも言えませんが、大阪万博のとき、鉄鋼館ホステスは東西から半数ずつ選抜されたので、生まれて初めて、仕事仲間として東京の人と接しました。

一番驚いたのは、彼女たちが大人だったことで、「ウィスキーはロックで」なんていうんですね。煙草をすぱすぱやりながら!

そして、あるラインから、絶対入ってこないのでした。

関西人なら、自分も他人もなく入り乱れる部分に、東京人は入り込まなかったですね。

だから、人間関係が薄いのかと思ったのですが、万博40周年をすぎても、同窓会が続いているのは関東の方らしいんです。

なににせよ、関西と関東は全然違いますね。
でもね、おっしゃる大阪の人情というのは、私が思っているものとは、少し違うと思います。

大阪は、せんじ詰めれば優しいのだと私はおもっているのです。京都の底冷えのする冷酷さとは違います。
あのありえない生活保護の出し方、ああいう、やりすぎのだらしなさは、せんじ詰めれば、やっぱりやさしいと思うのです。

うまく表現できませんが、あの町は、昔から反体制の弱者の街だったのではないかと・・・
京都の反体制は「わてが中心どす」の反体制ですが、大阪人は反権力だと私は思っているのです
。本来の大阪はもう残っていないのかもしれませんね。朝鮮人カラーが濃すぎる気がします。
Posted by 神戸だいすき at 2013年04月01日 06:26
>あるラインから、絶対入ってこない<

そうですね、東京でもとくに山の手の人たちはそうです。下町はズカズカ上がり込んでくる感じでしょうか。東京人からすると大阪の人がそう感じられてうっとうしいのです。

東京山の手の人間はそれを「節度」とか「プライバシー」の尊重と思うのでしょうが、人間関係で傷つきたくないからかもしれません。
距離を置くことが優しさではないかと、東京では思っているのかな?
Posted by 神戸だいすき様へ(ブログ筆者です) at 2013年04月01日 14:47
ほんとうに距離を置く優しさってありますよね。

ずけずけものをいうのは、決して感じのいいものではありません。

話が振出しに戻りますが、関西では、ずけずけ言わないと仲間に入れない空気もあって、慣れるまではなかなか大変でした。関西生まれではありますが。

悪態をつきあうほど、親しいという変な風潮もあって、それを、うまく切り返せば名人扱いになります。関西人はたいへんです。




Posted by 神戸だいすき at 2013年04月01日 17:15
>悪態をつきあうほど、親しいという変な風潮<
     ↓
それは、映画なんかで見ていると、アメリカ人がそうですね。
なんで無理してまで悪態をつくのかと不思議です。

せんだって取り上げた原ォさんのハードボイルドも典型的で、まともな会話ではなくて、お互い罵りあうようなやりとりは辟易します。
ハードボイルド小説は、登場人物同士そういう悪態をつきあい、うまく切り返すところに主人公の魅力を創造するように思えます。

アタマはもっとほかのことに使えよと言いたくなります。大阪人もそうですね。
ボケと突っ込みの掛け合いがだいすきなんでしょうか。

Posted by 神戸だいすき様へ(ブログ筆者です) at 2013年04月01日 20:05
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。