2014年08月21日

人身売買テーマの映画と危機意識(3/3)


《3》
 もう一つの人身売買を扱った『96時間』(2008年制作)のDVDのストーリー紹介にはこうある。

 「17歳のアメリカ人少女キムが、初めての海外旅行で訪れたパリで何者かに誘拐された。偶然にもその事件のさなかにキムと携帯電話で話していた父親ブライアンは、命よりも大切な娘を襲った悪夢のような出来事に、ずたずたに胸を引き裂かれる思いを味わう。
 しかし、政府の元工作員として幾多の修羅場を潜り抜けてきた彼は、冷静さを失ってはいなかった。追跡可能なタイムリミットは96時間! 異国の極悪犯罪組織に娘を奪われた父親は、自らの手で奪還すべく迷わず闇の世界へ飛び込んでいった! 」


 主人公の元CIA工作員ブライアン・ミルズをリーアム・ニーソンが演じる。ブライアンはCIAを引退し、離婚して1人暮しのわびしさを日々味わっているという設定である。

 ブライアンは娘のキムから話があると喫茶店に呼び出される。
 話とは娘が親友のアマンダと一緒にパリに行きたいから許可をくれというのだ。未成年は親の同意なしにはパスポートがもらえない。

 パリでは美術館巡りしかしないし、アマンダの従姉の家に泊まるから心配ない、と大はしゃぎで言う。どうしても行きたい、お願い、と。
 とたんにブライアンは不機嫌になり反対する。危険だと。
 それからのやりとりが、よくできている。
 https://www.youtube.com/watch?v=m5jpSBn5Ai8
 ここでそのシーンが見られる。

 母親は「何も問題ない」と娘の後押しをし、書類に同意のサインをしろと迫る。未成年が2人で外国に行くのは心配だとブライアンは答える。
 しかし娘は泣いて怒って出て行ってしまう。

母親「ひどい人。あなたは家庭を顧みずにCIAの仕事一筋だった(だから離婚した)。妻も娘も放ったらかし、娘のために努力すらできないのか」
ブライアン「危険を避けたいんだ」
母親「パリに行くことが危険? あきれたわ」
 そういって母親も席を蹴っていく。

 次のシーンでは、ブライアンが負けて書類にサインして、娘の住む家に出向く。娘に「条件付きで許可する」という。滞在先の電話番号、住所、外出先を教えること、到着時と寝る前に毎晩電話しろ、と。
 娘に押し切られる、とは、よくある話である。そんな約束を娘が守るはずがないのに。

 ブライアンは娘を空港までクルマで送っていく。
 車中で、久しぶりに話をした父と娘。母親は父のことを「異常な人だ」と言っていると娘が言う。彼は「心配性なだけだ」といい「パパの仕事は人々の安全を守ることだ。人々を危険な出来事から」と。
 「いい仕事だった?」「もちろんだ」

 空港に着くと、ブライアンは娘の荷物からはみでていたヨーロッパの地図を見て、娘の計画がパリだけでなく、スペインやオランダなどの国を巡る予定だと知る。
 あとから来た母親に、ブライアンは「行く先はパリだけじゃないじゃないか」と詰問する。

母親「知っていたわ」
ブライアン「だましたな」
母親「あなたが頑固だから」
ブライアン「どうしてだ?」
母親「あなたは娘に厳しすぎるのよ。有名バンドの追っかけでヨーロッパに行くだけよ。今の夫がヨーロッパの一流ホテルを予約したから心配ない」
ブライアン「お前たちは豪華な暮しに慣れ過ぎて、世の中の恐ろしさを分かっていない」
母親「あの子にも経験が必要よ。父親としてキムとの絆を築きたいのなら、縛りつけてはダメよ。自由にさせないとあの子は逃げる。あの子にパリを楽しませてあげて」
 渋々ブライアンは引き下がる。
 母親の言い分も、実にリアルで説得力がある。映画を見た女性ならこの母親に全面同感するだろう。けれど、言っちゃ悪いが「女の浅知恵」。

 そして、娘たちはパリに着いたとたん、アルバニア人の人身売買シンジケートの手先の男にさっそくナンパされ、舞い上がって気を許し、襲われて拉致されてしまう。
 そこからブライアンはパリに渡り、CIAで鍛えた特殊能力で敵をしだいに追いつめ、壊滅させてついに娘を間一髪のところで奪還する。

 映画だから、ハッピーエンドに終わるし、スーパーマンの男が助けてくれるが、現実にはあり得ない。
 人身売買組織は、『ヒューマン・トラフィック』でも同じだったが、しっかりと警察にまで手を伸ばして、持ちつ持たれつの間柄を築いている。

 もし、あなた自身やあなたの家族が浮かれて外国に旅行に行き、誘拐されたとする。警察に訴えるしか手はないけれど、警察はシンジケートとグルになっているのだから、どうにもならないと知っておくべきである。日本の大使館はただの事務屋だから、なにもしてくれない。

 たいていの人たちは、アメリカでも日本でも、平和に慣れて暮らしていると、危機に対して鈍感になる。まさか自分にそんな危機が及ぶはずがないと思い込む。大江健三郎のように、戦争の準備をしないで平和の準備さえしてたらいいと言う間抜けも多い。

 『96時間』ではアルバニア人のシンジケートが網を張っているという設定だが、アルバニア人ばかりではない、支那だって韓国だって、危険はいっぱいである。
 サッカーW杯がブラジルで行われた。ブラジルが著しく治安の悪いところだ。ニュースにはならないが、サッカー観戦でうかれた観光客がシンジケートに攫われたケースもきっとあったことだろう。
 もしかして闇の勢力は、女を誘拐拉致しやすいブラジルに、あえてW杯や五輪をもってきたのかもしれない。

 アルバニア人は、ヨーロッパでは極悪地帯で、ロシアですら恐ろしくて手を出さないと紹介されている。
 東欧の女を、西欧に行けば仕事があると誘って拉致し、麻薬を打って性奴隷にしてしまう。それが最近は、旅行で来る無防備な女たちをあっさり誘拐する手口が広がっているそうだ。
 パリやロンドン、ニューヨークなら大都市だから安心などと思うのは、とんでもないことだ。

 日本人はとりわけお人好しで、外国人は親切でフレンドリーで、友達になれる人がいっぱいいると思いこんでいる。
 しかし魔の手は、いかにも恐ろしい悪人面の人間を前面には出してこない。親切でフレンドリーを装って近づいてくる。
 こういうことは映画を観て、しっかり学ぶべきである。

 日本人女性が、小さなアバンチュールを楽しもうとて、ソウル、北京、マニラ、シンガポールなんかに出向くなんてことは、私には実に愚かなことと思う。現地の男に女性が誘拐されて殺され、強姦される事件がしょっちゅう起きる。バリ島とかの観光地でも。バリ島には、現地の男を買うために日本女性が大挙して出かけるそうだが、限りなく愚かだ。

 韓国ソウルに女二人で出かけて、街の喫茶店になにげに入ったら、ドアを閉められ、店員らに強姦されてしまった話がある。警察に届けると「そりゃ日本人だからしょうがない」と取り合ってくれなかった。
 だから危険がいっぱいである。

 昔、作家の小田実が書いていたが、奴がソウルに行って、喫茶店に入ってコーヒーを注文したら、カップに人糞を入れて出されたそうだ。
 この間抜けな男は、料金を置いて店をでた。「それほど韓国人は日本時代のひどい統治を恨んでいるのか。その子孫の自分がこういう目に遭わされてもやむを得ない。もっと謝罪しなくちゃ」とか書いていた。
 小田実のようなアホがいたから、奴らは調子に乗って、日本人旅行者の女の子を平気で強姦するようにエスカレートしたにちがいない。

 たしかに百人行けばその99人は無事に帰ってこられるだろう。それで安全と思い込む。
 私は空手をJALで教えていたのだが、入門してくるのはパイロットばかりで、地上職は危機感が皆無だから無関心だった。たった一人、地上職の者が帰宅途中に7人のチンピラに拉致される恐怖を味わって、空手で自衛したいと入門してきたことはあったが…。

 パイロットは、職業柄危機と隣り合わせである。だから危機管理に意識が日頃から鍛えてある。それが習慣となって、例えば都心に買い物に行くにしてもいつ大地震に襲われても生き残れるよう、厚底の靴を履き、夏でも長袖の服を用意し、水も携帯する。

 映画の主人公ブライアンは、CIAで常に危険な業務に就き、肌で危機とはどういうものか、どこにあるかを「像」で知っているから、無知な娘と母親にパリ行きが危険だと説けたのだ。

 最後にもう一つ。「アシャンティー」(スイス、イギリス、アメリカ合作 1979年)は、舞台がアフリカで、実は奴隷狩りとは昔の話ではないことが描かれている。実話に基づく映画だそうだ。あまり出来のいい映画ではない。
 国連所属の医師夫婦が、西アフリカで活動中、妻(黒人)が拉致され東海岸紅海まで運ばれる。それを夫の白人が追いかけて奪い返す物語だ。

 アフリカでは、年間数千もの人々が姿を消す、と映画冒頭で説明される。奴隷商人が暗躍し、港には奴隷市場まである。

 数ヶ月前にもナイジェリアの女子高生200人以上がイスラム過激派武装集団ボコ・ハラムに拉致された事件が起きた。欧米各国が救出の支援に乗り出すと言ったが、その後は音沙汰なし。少女たちはすでに闇市場で売られてしまった可能性もあるとされる。

 イスラム過激派と名乗るが、政治組織だとしても、彼らは何も資金源がないのだから、人身売買でもしてカネを稼ぐしかない。しょせんはヒューマニズムなんか通用しない世界である。







posted by 心に青雲 at 04:33| 東京 ☀| Comment(5) | エッセイ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
知人の警察官は、嫁に「昼間でも大阪には行くな。あそこで何が起こっているか知ったら、こわくて、妻を行かせられない。」と、言ったのだそうです。

大阪・・・一人で歩いてるけど、やっぱり危険な街なんでしょうね。

日本だって、油断できませんね。
Posted by 神戸だいすき at 2014年08月21日 06:29
神戸だいすき様

神戸だいすき様

大阪も怖いですし、東京では池袋、渋谷、新宿あたりは本当は怖いですよね。
バカな女がわざわざ、半裸の格好で出かけて、ナンパされに行くんですから、飛んで火にいる夏の虫になります。
Posted by 神戸だいすき様へ(ブログ筆者です) at 2014年08月21日 07:02
半裸は減るどころか増える一方ですね。

そして、半裸を見てもおじけづく菜食系男子をたくさん生み出し、少数派の肉食獣が食い放題ってところでしょうか?
男の子がもっと、いかつくなれば女の子もおしとやかになりそう・・・悪循環ですね。

娘は無事に過ぎましたが、今度、孫娘が心配で心配で、
Posted by 神戸だいすき at 2014年08月21日 19:12
いつもブロック更新を楽しみにしております。
欧米での性的奴隷目的の誘拐事件が現実に多発しているのに日本国政府はなんの注意勧告もだしていないのが残念です。

欧米では、古代ギリシャそしてローマ時代より『奴隷制度』が存在してウクライナ付近から性的奴隷目的で奴隷狩りを実施して、それを『黒海貿易』として永く実施されておりました。
アフリカ大陸での奴隷狩りは周知されておりますが、英国でも犯罪者(カトリック教徒)の白人女性を性的奴隷としてアメリカに輸出していた時代もありました。

性的奴隷とは欧米の白人達が持つ有色人種や違う文化圏への差別意識が根元にあると推測いたします。

古代ギリシャの哲学者アリストテレスは『奴隷は人語を理解する動物』という概念であります。

そして、キリスト教が植民地支配政策と混在した結果、アフリカや支那大陸、アメリカ大陸そしてアジアで奴隷狩りと貿易が盛んになり欧米の近代国家の礎となっております。

アメリカでは、イラクに戦争目的で派遣されるのは貧しい移民の息子達で、金持ちは戦争には行きません。

これは、アメリカ独立戦争時代から金持ちは『徴兵』を金で回避していました。

欧米社会では、現在でも潜在的奴隷制度により彼等の豊かさを享受しています。

アメリカにとっての最大の奴隷国家は植民地日本だからです。

捏造従軍慰安婦も日本人の誇りを覚醒させないための心理戦であると考察します。

日本ではせっかく武術という文化遺産があるのに、マスゴミと日教組により妨害されています。

次世代の子供達が、本物の文化遺産としての武術に触れる機会が多くなると少しずつ日本も変化していくと考察しております。

Posted by 智象 at 2014年08月22日 07:44
智象様

いつもコメントありがとうございます。

そうですね、武術・武道が復権する日を期待しましょう。
Posted by 智象様へ(ブログ筆者です) at 2014年08月22日 20:38
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