2016年04月23日

田母神疑惑に思う


 平成26年2月の都知事選に候補として立ち、落選した田母神俊雄が公職選挙法違反(運動員買収)で逮捕された。
 都知事選をめぐり、複数の運動員に報酬を支払った容疑である。特捜部は田母神容疑者らが、多額の政治資金を運動員への報酬に充てていたとみて実態解明を進める、と報じられている。業務上横領疑惑もあるが、それは取り調べてのことなのだろう。

 田母神をめぐっては、資金管理団体で、平成26年に集まった政治資金約1億3200万円のうち約5千万円が使途不明になる着服疑惑が昨年中ごろに浮上した。この政治資金のほとんどは、保守層のカンパであった。つまり田母神に期待した人たちの思いを裏切って、彼は選挙で余ったカネを、遊興費に使い、身内で(謝礼と称して)山分けし、さらに田母神の愛人女性にバッグやコートを買った疑惑も取り沙汰された。

 都知事選では彼を愛国者と信じて応援し、献金した人たちの思いを裏切った道義的責任は重い。都知事選で余ったカネを勝手に私物化して、選挙を手伝った人に「謝礼」を配るのは、彼が次の衆院選(落選した)に出るための買収行為と見られても仕方がない。そんなことを知りませんでした、では通らない。
 田母神に関しては、航空自衛隊の中からも、カネに汚いという事実がいくつも囁かれてきたという。噂の域は出ないが、あり得る。

 こういう疑惑に対して、田母神陣営は「そんなことをするわけがない」などといわば感情的に反駁して(それもツイッターとかで)いるが、収支報告をきちんとすれば簡単に疑惑は晴らせる。またそれが支援しカンパしてくれた人への責任であるのに、やらなかった。
 特捜部が目をつけける前に、この件を問題視したのは、都知事選までは保守派の同士であり、選対本部長も務めた水島聡(さとる)であった。

 水島が真相暴露として、自身のチャンネル桜でくり返し、田母神の疑惑を取り上げ、さらには昨年12月に地検に告訴まで行ったようである。それに対して、田母神側も反論し、水島は嘘つきだと言い、また水島が田母神を嘘つきとチャンネル桜で罵るという闘いが続いていた。

 どっちが正しいことを言っているのか第三者には分からない。けれど、収支報告を公開すれば話ははっきりする。
 私は、田母神はこの事件に関しては心証は黒だと思うが、水島聡も信用していない。
 どちらも人間として信頼できないのである。

 まず田母神から言うと、旧ブログで彼が例の航空幕僚長を解任されたときから、疑義を唱えてきた。問題にされた彼の「アパ」というホテルチェーンの懸賞論文が、保守層にベタ惚れされたが、あんな低度で大騒ぎするか? というほどのお粗末な内容だった。

 田母神は「日本が侵略国家だったとは濡れ衣だ」と言ったまでのことで、とりたてて優れた論文ではなかった。しかし彼が時の政府(麻生首相、浜田靖一防衛相)によって理不尽な解任をされたので、一躍スター論客になった。彼が解任されたのは、別の事情があったらしく、高山正之氏が書いている。それは後述。
 失職後、田母神は講演活動をしまくり、政治活動を目指すようになり、ついに都知事選に出たのだ。

 アンチ・サヨクの人たちが小躍りして彼を支持し、カンパを寄せている様は、どうかと思っていた。先の都知事選でいえば、朝鮮・舛添よりはましに違いなかったが、訴えている政策が地についたものではない。底の浅い評論家低度のド素人丸出しで、私はとうてい投票する気になれなかった。

 そういう田母神を、むやみに担いだ水島聡もどうかしているし、有名人が支援したことも間違いだったと思わざるをえない。こんな素人を候補にしたら、かえってまずいことになるぞと忠告する人間はいなかったのか。水島も、チャンネル桜を主催していて、保守論客を出演させ、保守層の支持で経営も成り立っているわけで、その流れで田母神を都知事選に担がざるをえなかったのだろう。

 保守論客が水島を信用しなくなったら、チャンネル桜は潰れ、彼は路頭に迷うことになるだろう。
 以前、ブログで批評したことがあるが、水島が監督した「南京の真実」という映画を只だったので観に行ったことがあった(2008年5月)。

 「南京の真実」と言いながら、「この映画は南京の映像は少し出てくるものの、処刑直前の7人の様子ばかりが前面に出てしまい、なんでタイトルが『戦犯7人の最後の24時間』といったものではなく、『南京の真実』なのかさっぱりわからない。この映画は水島総監督の思い込みで構成されている。自己満足だ。さもなくば、ある種の保守愛国者の人におもねった創りでしかない」と書いておいた。

 映画を観始めて5分で外に出たくなったことを思い出した。
 「南京の真実」と銘打てば、保守層は「やっと南京虐殺なんかなかったというまともな映画が世に出るのか」と期待したろうが、それは裏切られた。
 要は水島は、映画を作るにあたってカンパを募ったが、サブタイトルの「7人の死刑囚」ではカネが集まらない、「南京虐殺」を匂わせればもっとカンパが集まると踏んでやったのではないか。

 それどころか、これは3部作にすると水島はぶち上げ、3億数千万円とかをカンパで集めた。第一部の制作費には五千万から六千万円かかったと思われる。ところが以後、第二部も第三部も音沙汰なし。関係者がどうなった? と尋ねてもだんまりを決め込んでいる。
 水島は尖閣諸島に行くために船を買いたいと言って、これも数千万円カンパを集め、千数百万円で一隻買ったものの、残りの資金が消えている。

 これは推測だが、チャンネル桜の経営も楽ではないようで、カネは欲しいのだろう。にしてもあの醜く太った体から想像すると、カネは潤沢にあると見てもよかろう。

 田母神の支援者の1人、諸橋茂一(しげゆき 金沢市の建設業KBM代表取締役会長)が、YouTubeの動画で、水島を罵っているものを偶然見た。
https://www.youtube.com/watch?v=DccGlm4bOto&spfreload=10

 諸橋は著名人ではないが、田母神の都知事選のときに張り付いて応援していたそうだ。毎朝、選挙事務所で朝礼をやるとき、選対本部長の水島がボランティアのスタッフに対して、実に態度が悪すぎたと言う。偉そうに横柄ものを言うことは絶対にしてはならない、譬え部下であっても、そんなものの言い方は良くないと注意した。

 その後も、水島は田母神候補の本部長として応援に出ていたが、街宣車に登って演説をする際、司会者の立場なのに、田母神を差し置いて30分もしゃべり続けたそうだ。知らない人が見たら、都知事選に出ているのは水島か、と思うのではないか、というくらい。

 また、諸橋は今度の田母神に金銭疑惑があるとするなら、選対本部長だった水島にも統括責任がないわけではない、と語っている。それはそのとおりで、私も、水島がやばくなったから急に自分は知らない、全部田母神と事務局長・島本が悪い、と言い出しているような印象は受ける。

 たまにYouTubeでチャンネル桜の番組を見ることがあるが、水島聡は話し振りがガサツで醜悪である。しゃべることの整理ができない状態でダラダラ言っている。
 自分だけがわかっていて、視聴者にわかりやすく伝えようと言う意志がまったく見えない。どこかで会話術でも教わってきたほうがいい。というより、根っから傲慢で、「俺が、俺が」なのだ。
 座談会を称して人を集めておきながら、自分ばかりとうとうとしゃべり続ける非礼をいつもやっている。

 だから、諸橋が言う水島批判は的を射いていると思う。しかし、事はそういう人物批判ではなく、田母神陣営のカネの出し入れの説明である。司直は人格を問うてきているわけでもなく、水島と田母神のどちらが本当を言っているかでもない。不明朗なカネの流れを問題にしているのだから、諸橋もそれに関して(知っているなら)答えるべきで、ここで水島の人格うんぬんはスジ違いである。

 水島にもカンパしてもらったカネの収支が不明朗なら、それはそれで追及すればよく、ぜひやってもらいたい。ただ、田母神と水島の不始末問題は相殺される話ではない。

 評論家の三橋貴明は、チャンネル桜の番組で、自分も都知事選のときに田母神を支持し、カンパもし視聴者に田母神に投票してくれと言った責任を感じていると語っていた。
 三橋と同じように、おそらくチャンネル桜に登場する保守派の論客たちも半分水島への付き合いであっても、田母神にカンパしたり、視聴者に応援よろしくと依頼したりしているだろう。

 その人たちは、今回の田母神事件をどう思うのか、どう責任を感じるのか説明すべきである。カネのことはわからないとか、真相は司法の手でなどと言うべきではない。自分が田母神や水島の人間性を見抜けなかった不明を恥じるべきだ。

 以前、評論家・高山正之氏が週刊新潮の氏のコラム「変見自在」に、田母神俊雄が空幕長を解任されたときに、その内幕を暴露していたことがあった。
 「防衛省の内局、つまり役人は守屋武晶次官を筆頭に、みな腐っている」と。防衛省内であまりに汚職が蔓延っていたのだ、と。
 背広組(内局)は「悪いことはみな制服組に押しつける。内局の悪い癖です」とも。

 逮捕起訴された守屋次官の後任の増田好平次官は、汚職防止のビデオを作って、そのドラマの登場人物は制服自衛官にした。
 増田は就任の際、陸海空の幕僚長を呼びつけて、そのビデオと同時に「自衛官は汚職まみれだから綱紀粛正するように」と申し渡した。それに田母神空幕長が反論した。それは汚職をやる内局に言えばいい、と。

 それが田母神解任の原因で、増田は報復に出た。俺に逆らうとはなんだと意趣返し。“論文”はさして問題ではなかったのだ。
 「田母神空幕長は統合幕僚長に昇任する予定だったのに、増田次官は人事を見送り、田母神の定年を待って次の統合幕僚長人事をやることにした。内局は、これが文民統制だと思っている。」
 
 これが役人の卑劣さであることは、とりたてて証拠を探さなくても、常識ある一般社会人ならわかるものだ。軍隊はどこでもこんなものではあるが、わが国の場合は、支那や南北朝鮮の工作が入っているはずで、田母神事件にもそれはあり得ると思う。





posted by 心に青雲 at 04:00| 東京 ☀| Comment(6) | エッセイ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
そういえば、前から田母神さんを嫌っていらっしゃいましたね。

私は、かつて馬鹿な保守だったから、応援したですよ。本も買いました。読まなかったけど。

でもね、モノの言い方とか、顔つきは、どうもねと思っていました。親しみが持てませんでしたね。

会津の人ですよね。幕末の会津を信頼してたのですが・・・今は、だめか・・・

自衛隊は、特に昔の海軍系は、大きな買い物をするので賄賂がつきものなんでしょうね。

そういうのを屁とも思わないできた人なんでしょうね。
それでも、東京地検が動いたのは、それなりの意図があってのことだと思います。

どんな悪事だって、見逃す組織ですからね。
Posted by 神戸だいすき at 2016年04月23日 07:12
青雲さまが書かれているとおり、二人とも胡散臭いですが、取り分け水島は・・・。私は彼にお会いしたことがあります。詳細はここには書けませんが、大体察しが付かれることと思います。
Posted by 神戸市北偏限界団地野生児会館 at 2016年04月23日 13:12
保守ではあるけれど次の選挙に出られては不都合だと思った人がいたのかもしれませんね。
Posted by たていと at 2016年04月23日 15:24
神戸だいすき様
何か権力の意図があるのかもしれませんが、田母神がワル過ぎ。
水島が告発したから受理して逮捕に至ったのでしょう。
Posted by 神戸だいすき 様へ(ブログ筆者です) at 2016年04月23日 20:20
神戸市北偏限界団地野生児会館様
建設中の高速道路の橋桁が落ちたあたりでしょうか?
「ここには書けません」って、別にコメントなんですから、書いてもどうってことはないでしょう? あなた次第ですけれど。
Posted by 神戸市北偏限界団地野生児会館様へ(ブログ筆者です) at 2016年04月23日 20:23
田母神が保守、ですかねえ?
あの低度に、講演させたり、執筆させたほうがどうかしている。
むしろ田母神は、自分が首になった理由を、「日本は悪くなかったと言ったから」ではなく、内局の増田好平次官の仕掛けだったと暴露したほうが、それこそ保守にとっては追い風になったでしょうに。自分を保守論客で売って、いずれ政治家になろうと野心を前面に出したから、このザマになったんですよ。
Posted by たていと様へ(ブログ筆者です) at 2016年04月23日 20:28
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