2016年06月30日

孤城落日の朝日新聞


 「月刊Hanada」7月号で元朝日新聞記者の永栄潔氏が同じくOB長谷川煕氏と対談している。永栄潔氏は昔お世話になった知り合いで、本ブログでも氏の著書を取り上げて論じたこともあった。
http://kokoroniseiun.seesaa.net/article/417347598.html
 保守系の言論雑誌や保守系ネット配信動画では、朝日新聞の問題がしきりに論じられている。

 永栄氏と長谷川氏の対談では「朝日新聞の部数偽装問題」を語っている。
 私は、朝日新聞の個々の問題では保守系論客がそれぞれ言っていることにさして異論はないが、歴史の流れについて言及した論評は見たことがない。

 朝日の近年のもろもろの事件は、新聞そのものがもう終わろうとしている時代に私たちは生きているのだいう思いを募らせる。もっと大きくいえば、日本が衰退する流れは止めようがないのではないかということである。
 例えば、東芝、三菱自動車、シャープ、東洋ゴム、三井住友建設などの不祥事に見るように、じわじわと日本を支えてきた産業に陰りが見えてきた。朝日もその流れにある。

 日本人の認識が落ちただけでなく、日本人の脳という実体がダメになりつつある。やさしく言えば、カラダと働きが衰えているのである。朝日、東芝などで露呈してきた萎微(いび)は、山雨来たらんと欲して風 楼に満つ、であろうか。
 たいていの人は、まだ働きが歪んだだけと思い、実体が下降期に入ってきていること言及しない。
 朝日の大罪たる慰安婦とか、吉田調書とか、押し紙とか、個々に現れている問題は、それぞれ原因も結果もわかっていても、それだけ見ていてもわからない大きな歴史の流れのなかでは、衰退の主たる要因ではないのではないか。それらの問題は、大きな衰退の流れのなかの一コマでしかないというのが私の感慨である。

 永栄氏は対談のなかで「公正とか公平とかにとらわれず、贔屓にしてくれる読者層に照準を合わせて記事を書く新聞事業体を意識的に目指す、というやり方が案外、賢いのかも」と語っている。ご本人はこれは反語だと言うが…。
 よしんばそれで一時、朝日新聞の衰退に歯止めがかけられたとしても、大きな歴史の流れは止めようがないと私は思っている。
 朝日だけではなく、他紙も同じ運命をたどるはずだ。

 情報を新聞が独占していた時代は、テレビが登場し、ネットが登場して終わったのだ。現在、朝日新聞が突きつけられている諸問題は、きっかけに過ぎず、衰退の流れに棹さしただけのこと。
 私の子供のころの朝日新聞は輝いていた。情報でも言論でも、一流の名をほしいままにしていたが、だんだん衰退してきている。

 それをごまかそうとして、押し紙をやらざるを得なかったし、サヨクにおもねって反原発やら、中共賛美やら、韓国の都合の悪いことは報道しないなどに傾いていかざるを得なくなってきた。
 個々に歪んだイデオロギーを持った記者がいたことも問題だったが、そんなことより、新聞業界でもトップランナーだからこその朝日の凋落は少しずつ進んできたのだ。

 トップにいるとの自負が、変わる勇気を殺ぐ。二番手三番手ならまだしも。これではダメだからもっと何とかしないと…と思える。それまでの自分を棄ててゼロからやり直せようもあるが、トップにいるのは正しいからだという至極もっともな認識が、実は凋落の一番の原因になる。東大も、財務省も、みなそうなっていく。

 先日、テレビで東大五月祭の様子をやっていた。他大学の女子大生が東大ブランドの男子学生を求めてやってくるらしいが、およしなさいってば。今、トップにいる奴はほとんど変われないのだから。東大出の男の妻と言うブランドは手にいれたとしても、苦しみの人生を送る可能性のほうが高い。

 あれほど絶頂を極めた世界帝国のアメリカも、衰退の道に踏み込んできている。あと何年もつだろうか。50年後はアメリカも、かつてのスペインや大英帝国のように覇権が終わるだろう。戦争で勝てなくなった、暴言トランプが登場した、支那の横暴を止められない、タックスヘイブンが暴かれたなどなど、衰退のしるしがあちこちで露呈しているが、それへ対処できたとしても、もう国家の寿命は終わっていくしかない。

 冷静になってみれば、朝日新聞もその役割を終えるときがやってきたのだ。おそらく、ざっくり言って「サザエさん」が連載されていたころが朝日の絶頂期だったのではないか。
 慰安婦報道が間違っていたと言うことは誰でも簡単に言えるが、それはいかにも一部の記者がやったことのようでいて、本当はそうならざるを得ない流れが朝日にあったのではないかと私は睨んでいる。もう反省しても謝罪しても手遅れだ。その謝罪すらする気があの新聞社にはないのだから、臨終を迎えている。

 三菱自動車や東芝は、トップの資質が悪かったというのは表面的な原因であって、おそらく誰が社長でも程度の差はあっても、衰退する流れは止められなかった。
 大相撲も、もう本当は終わっている。外国人をつれてきて無理に延命させているだけである。
 巨人に賭博など不祥事が出たが、あそこも長嶋・王を絶頂期として、あとはどう抵抗しても衰退していくほかなかった。

 国家も人間も自然も、スパンの違いはあっても、すべて誕生して成長し、最盛期を迎えたあとは衰退していって死を迎えるしかない。
 正規分布の曲線のように推移する。
 それがヘーゲルが解いた「歴史哲学」の要諦であろうか。
 朝日新聞の部数減も、多少の“延命装置”をつけて生き延びても、もう実際は手の施しようがない。仮にテレビも禁止、ネットも禁止にできたとしても…。
 今年の新入社員は、おそらく定年までは会社が存続していないだろう。

 衰退を止める一つの方法としては、トップを変えることである。相撲では元力士の横綱経験者を理事にしているが、それでは頭が変わらない。まったく相撲とは縁のない人間を理事長にすれば再興できるかも。
 巨人は監督をはえぬきの選手から昇進させるのを止めて、他球団から連れてきて監督にさせればまだしもなのに、ファンも納得しないし、選手もOBも承服しないはずだ。だから変われない。変われないから新しくなれない。

 朝日新聞も、トップにマスコミとは関係ない業種から若い情熱家をひっぱってきて社長にし、四〇代以上の社員全員のクビを切れば、再生の道がひらける可能性があろうが、できるわけがない。新聞業界を知らない奴に社長が務まるかと反発するだろう。そうとしか考えられない脳になっているから、終わるしかない。

 「人間五十年 下天のうちを比ぶれば 夢幻のごとくなり ひとたび生を得て 滅せぬもののあるべきか」




posted by 心に青雲 at 04:00| 東京 ☁| Comment(2) | エッセイ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こうなると自治体でさえ民営化され、経営難になり衰退してしまうのでしょうね。

報道は嘘ばかり、テレビを見ると馬鹿になるなど、70代の先輩方ならカラーテレビが普及した頃に散々言われた事をご記憶かと思います。
なるべくしてこうなったとしか思えません。
Posted by たていと at 2016年06月30日 06:04
たていと様

コメントいつもありがとうございます。
そうですね、70歳以上の老人ほどサヨクで、頑迷ですね。
Posted by たていと様へ(ブログ筆者です) at 2016年06月30日 08:39
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