2016年08月19日

野草を食べよう


 今日は夏休み…という感じで、「旧心に青雲」の文章の再録としたい。

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 わが流派では「野草を食べるとよい。漢方より効果的」と言われている。
 私も近所の河原に運動にいくと、よく野草を摘んできて食べている。俺は野草を食うほど生活に困っていないぜ、と言うかもしれないが、これは楽しいし、健康のためである。

 『野草を楽しく食べる本』なんかを買って研究するといい。
 早春は野草の芽生えるころで、おいしく食べられる。自宅でも庭先に芽生えたフキノトウを茹でてドレッシングをつくってかけて食べる。夏は、庭に雑草のごとくはえているシソ(大葉)を摘んでは、そばや冷や奴の薬味にする。
 だいたい、野草は爪でちぎれるくらいの柔らかさなら、おいしく食べられるが真夏になると猛々しくなり、固くて食べられるところが少なくなる。

 野草は、野菜とちがってきわめてアクが強い。だから茹でるか、1〜2時間水に漬けるかすると、かなりアクは抜ける。しかし油で揚げる(てんぷら)とか、油やバターで炒めるならさほどアクは気にしなくてもよく、ゆでたり水にさらさなくても大丈夫である。基本的には野草は、茹でてから、おひたし、ごまあえ、サラダ(生ではない)、炊き込みごはん、にすればなんでも食べられる。本当は根っこまで食べるといいのだろうが、まず、芽先の柔らかなところならアクもすくなく無難である。

 春は、たんぽぽ、はこべ、なずな、おおばこ、あかざ、かたばみ、くず、よもぎ、からすのえんどう、いたどり、ふき、よめな、ははこぐさ、といったどこにでも生えている野草が食べごろである。ツクシもうまい。

 たんぽぽは、葉も食べられるが、私はよく空き地などで花を摘んで帰って、てんぷらにして食べる。木の葉も、柿や桜の若芽はおいしい。花はだいたい生でも食べられるものだ。サラダにはさんで食べてもいい。とくにうまいのはクチナシの花で、口いっぱいあの香りがひろがる。梅雨の時期はこれが楽しみである。

 ヨモギは茹でてから冷凍保存しておき、適宜料理につかう。山間部での空手合宿では練習の帰りに野草を摘んで、民宿の料理の牛丼とかカレーにまぜて生のまま食べることもあった。
 私の好きなのは、はこべの味噌汁、クズの芽先(5センチくらい)のてんぷら、生のノビルに味噌をつけて食べるのなどであるが、これはあまりアクがなく食べられる。はこべは庭先にはえている生のやつを葉をちぎって、ほかの野菜で作った味噌汁のなかにぶちこむだけ。クズは茎に細かい毛がはえているが、てんぷらの衣をつければ気にならない。

 たしかに野草の欠点はこのアク、苦みなので処理がへただと「オエ!」と吐き出したくなるものだが、そこは研究である。湯で茹でるか塩茹でにするか、油で炒めたらいいのか、ごまあえにしたらいいのか、など試してみることだ。現在の野菜はそうやってアクを抜く研究をされて、食べやすくなったものなのだから。

 女優の高木美保さんが雑誌で、自然農法でつくった野菜は食べたとき生命力のちがいを実感すると語っていた。自然農法で育てた野菜を食べると、ドカっと生命力をもらえるような実感がある、とも言っていた。おかげでずいぶん健康になった、と。彼女は両親と東京から那須に移って、自分の農地で野菜を栽培している。野菜も季節はずれに、ビニルハウスや化学肥料をたっぷり与えてつくると、やはり生命力が衰えるものであり、露地栽培で、できるだけ植物を甘やかさずに有機栽培したものが人間にはいいのであろう。

 山に別荘を持っている人の話では、早春に業者や通りすがりのハイカーが敷地にはえるタラノ芽をもいで行ってしまうらしいが、高級品のタラノ芽を大事に確保するのもいいが、別荘のまわりは野草の宝庫と思ったほうがいい。タラノ芽ばかりが、貴重品じゃない。

 われわれはとくに都会にすみ、きわめて自然から遠ざかった生活をしていて、不健康になりがちなのだから。食も衣類も住宅も、である。だからささやかながら、庭先や近所の空き地にはえてがんばっている自然の野草をとりいれて、少しでも体を自然に戻さなくてはならないと思う。ことさら田舎へドライブにいかなくても、いくらでも近所にはえている。

 野草を食べるというと、「犬がおしっこをかけているかも」とか「そんなもの食べなくても野菜がある」とか言って、私はずいぶん顔をしかめられた経験があるが、そんな雑音は無視することである。健康になったほうが勝ちなのだ。私は歩きながらでも、道ばたのたんぽぽの葉をちぎって食べてしまう。土がついているって? その程度で腹はこわしませんよ。回虫がいる? すこしくらい寄生虫がいたほうが、体にいいのだ。寄生虫研究の権威・藤田紘一郎氏がそう説いている。藤田氏はわざわざサナダムシを体内で飼って(?)いるくらいだ。以下に詳しい。
http://www.athome.co.jp/academy/zoology/zoo04.html

 寄生虫なんかこわくはない。だいいち野草の知識が増え、自然と親しむことができ、ただ散歩しているより、何倍も楽しくなる。子どもに「ほら、あれがアカザだよ」「これがイタドリだよ」などと教えてあげれば尊敬される。

 これからの梅雨の季節、ドクダミの花が咲くころは、これを根ごととって、洗って乾燥させ、「ドクダミ茶」にする。他に茶になるのは、スギナやヨモギ、秋のセイタカアワダチソウである。
 スギナ、ビワの葉は焼酎(35度)に漬けて薬用酒にする。
 ついでながら、草は食べて健康にもなるが、「鍛練としての草むしり」はできるだけ猛々しい草をむしるほうが鍛練にはなる。柔らかい草はちぎって食べて健康になり、固い草はちぎって神経体力の鍛練をして頭をよくする、というのが、わが流派の流儀。





posted by 心に青雲 at 04:00| 東京 ☀| Comment(0) | エッセイ | 更新情報をチェックする
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