2016年10月24日

「誤解、勘違い」についての省察


 よく政治家や企業人が、マスゴミで「問題発言」について叩かれ、仕方なく謝らなければならない立場に追い込まれると、「誤解を与えてしまったことは遺憾だ」とか「誤解を招いた点については、反省している」などと弁明していることがある。
 この言い方に、みなさんはひっかかりませんか?
 先日はある方からメールがあって、私に対して「勘違いしてほしくないことですが…」という言い方をしてきた。「たいした自信だ」と私は半ば感心し、半ば呆れたものだった。

 誤解も勘違いも、「自分がした」ならばつかって構わない。しかし相手に向かって「それは誤解だ」「勘違いしてる」と言えば、ずばり、「俺は悪くないのに、お前がちゃんと理解しないのが悪い」と、いわゆる上から目線でもの申しているのである。
 日本語の用い方がおかしい。わかってやっているなら、それはケンカごしというものだ。

 先日も、自民党の福井照衆院議員が今の臨時国会において、この国会で「TPPの委員会で西川(公也)先生の思いを、強行採決という形で実現するよう頑張らせていただく」と発言。その後、発言が問題とされて、福井は理事を辞任する考えを伝えた。
 そしてこのオバカの福井は、記者団に「この国会でどうしても採決したい、という総理の思いを申し上げたに過ぎない」と説明しつつも、「少し誤解を招いたことは、大変申し訳ない」と述べた、という記事になった。

 審議が始まる前から「強行採決する」とは、まことに不穏当でマスゴミが取り上げたのはまあよいが、福井の弁明のなかで「少し誤解を招いた…うんぬん」の発言を、そのまま無批判に載せて、なにも問わないのは、新聞が劣化している証拠である。要は、「私の真意を曲げて理解したマスゴミや国民のほうが悪い」と、ふんぞり返っているのだ。
 福井照は二重に議員の資格なし、である。

 この福井某のような事例はしょっちゅうある。日常生活でも気軽につかわれる。「誤解しないでね」とか「勘違いしては困るよ」とか。でもそれは端的には日本語の乱れだ。
 しかしこの言葉は相手に対してつかうのは、ケンカをあえて売るつもりならともかく、かなり失礼である。

 「曲解」という言葉を考えてほしいが、これは「誤解」よりも強い言い方で、「悪意をもってわざわざ歪めて理解した」という意味になる。相手に「曲解するな」といえば、もう怒りを含んでいる。
 「誤解するな」も「勘違いするな」も曲解ほど強くはないが、理解できていないのは俺の言い方が問題なのではなく、受け取り方が悪いお前だ、と決めつけているのである。

 「誰でもつかっているじゃないか」は屁理屈である。細かいことにごちゃごちゃ言うなとも反発されようが、そういう人は人間関係がいい加減なのであり、また、日本語を大事にしていない。
 自分が相手に対して、へりくだって用いるのが「誤解して済まない」であったり「勘違いしてすみません」だったり、なのである。これが美しい日本語であり、「大和ゴコロ」であり、日本の文化なのである。
 
 それが嗜みとしてないから議員フゼイのくせにとか、記者のブンザイで、と軽蔑される。こうした日本語を大事にしないご仁たちのありようこそ、見事な頭脳をもっているかもしれないが、その用い方がおざなりだということになる。大和言葉とその用いるにあたっての認識が実力と化してしないのである。この件は明日のブログで、南ク継正先生の新著『武道空手概論』を紹介しながら説いてみたい。

 私に「勘違いしないでほしい…」と言ってきたご仁は、家に行くと本棚は汗牛充棟、専門書がぎっしりだが、肝心の日本語を育む書、使い方を学べる書、いろいろな用途に適った辞書などがほとんどなかった。せっかくその道で権威となれるのに、これでは日暮れて道遠しであろうに。




posted by 心に青雲 at 04:00| 東京 ☀| Comment(2) | エッセイ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
選挙の時だけ頭を下げて当選したら俺様は誰がやっても同じですね。スタンフォード監獄実験がよい例でしょう。
皆が政治家やマスコミというものの正しい理解をしない限り社会は変わることは無いと思います。
Posted by たていと at 2016年10月25日 16:39
日本語には、便利な言葉がおおくあります。
「けっこうです」イエスかノーかわからない。

やぶさかでない・・・やるのかやらないのかわからない。

遺憾である。・・・で、どうするのかわからない。

こういった言葉の新しい版が「誤解・曲解」のことばではないでしょうか。

なにをどう、誤解されたのか、言わない。

便利につかわれる言葉のひとつに加えられましたね。
むかしなら「遺憾」かな?

死語になったから・・・こっちになったのではないでしょうか。

しかし、この変化にも、「不遜なにおい」がより強くなりましたね。
Posted by 神戸だいすき at 2016年10月25日 17:14
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