2016年11月29日

答えは風に吹かれているか(1/3)


《1》
 ボブ・ディランが今年のノーベル文学賞を受賞したとか。
 発表があってから2週間ほど、ディランは知らん顔し、連絡が取れず、取らずで、いろいろな憶測を呼んだ。ノーベル賞委員会が、アタマに来てもう連絡は取らないとか取り消しだとか言い出し、「奴は傲慢無礼だ」と怒り始めた。

 で、やっとディランと連絡がとれたら、「賞を受けるかって? もちろんだ」と受賞の意向を伝えた、と新聞に出ていた。このいかにもディランらしいゾンザイな口の利き方のように記者が訳しているのがバカバカしい。
 だが、なんで授賞を知りながら知らん顔していたかについては答えなかったらしい。

 私は別にこんな話はどうでも良かった。彼の歌は嫌いだからであるし、ノーベル賞もけったくそ悪くてならないからだ。
 つまり、言うなれば白人支配側(ユダヤ人)にとって、ユダヤ人のディランはいささかも反体制ではなかったし、レコードなどの売上げで稼がせてくれたし、若者の体制への不満を一部逸らせる役割を果たしたから、ご褒美をくれたのである。

 ボブ・ディランもビートルズやローリング・ストーンズなどと同じく、ユダヤによってつくられた歌手だったのであって、仲間うちでの表彰でしかあるまい。
 なんでディランが、長く授賞に返事をしなかったかどうでもいいが、日本のマスゴミは非難しなかったことが、なんとも浅ましい。
 拒否するならするで返事をしろと、誰でも思うのに、それもディランらしいとか言っちゃって、アホか。

 ただバカなだけの男なのだ。
 ちょっと話がマスゴミ批判にいくけれども、大手新聞社はあれで先輩後輩の序列がきつくあるらしい。これは産經新聞出身の高山正之氏が「放言バー・リークス」(10月29日付)の中で語っていたことである。
 新聞社の中というのは、ある分野について詳しい先輩がごまんといて、若手が書く(書こうとする)記事になんやかんやとものを言う。忠告だったり、アドバイスだったり。

 例えば中曽根内閣について若手の記者が記事を書こうとすれば、中曽根内閣担当だった先輩記者がいるわけで、若手は先輩に話を聞きに行くし、先輩のほうからも飲みに誘われたりして当時の話を聞かされることになる。
 それを無視して若手は記事を書けない。出世にも妨げになるし、苛めも受けかねない。
 高山氏によると産經新聞が朝日や読売ほど大新聞ではないので、先輩からのそういう縛りというか、空気は少なかったそうだ。

 実際、若手にすれば先輩の詳しい話は貴重である。書いた方がいいことも、書いてはまずいことを教わることができる。
 楽に記事が書ける。だから延々とその新聞社の「色」というか、主張の傾向が引き継がれていく。
 こういう問題についてはA大学のなんとか教授の意見を載せろとかアドバイスも受けるから、その問題ではいつもA教授の見解がその新聞には載る。A教授のほうもその新聞社が何を書いてほしいかが分かっているから、ご用立てもツーカーだ。

 さて、話を戻すと、朝日新聞でも毎日新聞でもNHKでも、ボブ・ディランについての原稿を若手が書こうとすれば、ディランに熱狂した世代の先輩がまだ残っているだろうし、先輩は詳しく知っているわけだから、当然どういう記事にしたらいいか、お伺いを立てる。
 当時のディランのファンである読者に受ける書き方も教えてもらえるし、愛好していた音楽専門家も教えてもらえる。

 都庁の職員が、豊洲新市場の闇を知っていても、こうした先輩後輩の関係性も大いに関わって、悪をやらかしたのであろう。

 そういう仕組みだから、ディランのファンだった先輩たちは、極めてディランに好意的な見地を披瀝するだろう。わざわざ目出たいノーベル賞の話について、批判的な見解はまあご法度だ。
 そして、返事もしなかったディランの無礼は咎められることがなくなる。偉大なミュージシャンだった、とか、それもまた彼らしいというおべんちゃらが紙面を踊る。

 冒頭に紹介したディランの発言「賞を受けるかって? もちろんだ」のようなもの言いは、そうした先輩どもの知恵が反映していると思われる。むろんディランは日本語でそう言ったわけではない。
 たぶん尋ねられて「of course」と答えたにすぎまい。それを訳すときに、彼らしい行儀の悪い(敬語になっていない)言い方に脚色したのである。だからマスゴミは下劣だと言っているのだ。

 明日は2010年に旧「心に青雲」に書いたボブ・ディランについての論考を掲載する。



posted by 心に青雲 at 05:00| 東京 ☀| Comment(1) | エッセイ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
は?
やっぱりね。もらうんだ。
思ったとおりでしたね。

なんらかの骨がある人物だとは思っていませんでした。
あの世界は、全部つながっていますもんね。

ちょっと、だまされて面白がった時間があったのが、悔しいな・・
Posted by 神戸だいすき at 2016年11月29日 21:29
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