2017年02月12日

野球WBCは愚かしいこと


 まもなく野球のWBC大会が始まる。大谷翔平選手の不参加で、日本チームは戦力ダウンでピンチである。参加する以上は勝ってほしいのはやまやまだが、これで予選敗退になれば選手の健康状態の面ではホッとする。

 私はかねてより3月の時期にああいうスポーツの世界大会をやることに私は疑問を呈してきた。スキーやスケートならまだしも(覚悟のうえだろうが)、野球やサッカーのようなスポーツをやるには、寒い時期は非常にまずいのだ。それを興行上の理由でこの時期に強行するのだから、ひどい話だと思う。

 3月に試合ができないことはなかろうが、そのための準備を選手たちは例年より早くやらなければならないのが、実は深刻な問題になる。
 選手たちは、冬の間カラダを休めつつ次のシーズンへの準備をしなければならない。問題はこの準備運動の捉え方なのである。

 わが流派ではよく言われることだが、準備運動には2つあって、一つは「今日の練習」のための準備運動、もう一つは「1年の練習」のための準備運動である。

 プロ野球では昔は(と記憶しているのだが)オフシーズンはみんなランニングだけやって、2月からのキャンプではじめてバットでボールを打ったり、投手が投げたりし始めるありようだった。ところがたぶん興行的に春は早くから試合をやって儲け、秋は遅くまで試合をやって儲けようとの魂胆から、選手のコンディションを尊重しなくなった。

 だから2月のキャンプイン直後から打撃練習をやり、投手は全力で投げ込みをさせ、なかには最初から紅白戦をやる球団も出てくる。
 だから選手たちも必死に生き残らなければならないので、1月中からグアムやハワイに出かけて温かいところで身体を創り、早々に野球を始めてしまう。

 そのままずっとグアムやハワイにいて、キャンプをやり、公式戦をやって5月ごろ日本に帰って試合を続けるならともかく、1月に温かいグアム、ハワイで練習しても、日本の沖縄や宮崎などのまだ寒いところで全力で野球漬けになるキャンプをやるのだ。

 わが流派では、準備運動とは「準備運動」と称するものをやることではなくて、たとえば息も絶え絶えになってから空手なら空手の練習に入るのが準備運動なのだ。全身が温まった状態を準備運動ができた状態という。
 ところが冬とか春まだ浅い季節では身体は冷えている。沖縄や宮崎でも2月3月ではまだ相当に汗だくにしないと準備運動ができたとは言いがたい。

 選手は監督にアピールしなければと、準備運動もそこそこに、1月のうちから全力投球や全力でバッティングしてみせる。1年間のための準備運動は蔑ろにされて、いかに早い仕上がりかをやって見せることになる。

 冷えた状態で空手(あるいは野球など)の練習をやると、冷えた身体で技を覚えてしまう。冷えた身体で技を覚えると、夏になって身体が温まってきたときに、その技がダルになるというか、崩れてしまうのだと説かれる。
 だから技は身体が温かい状態で覚えなければならない。
 したがってわが流派では、冬の稽古は指導者は神経を使う。あまり技を覚えさせる練習は組まない。

 だから前回のWBCでは、イチロー選手の調子が上がらず、ファンはやきもきしたが、それは当然であった。他の選手も無理してWBCにあわせて、例年より早く(寒いうちから)野球の試合ができる身体にしたことは、今は目に見えなくとも、後々故障したり、選手寿命を縮めたりすることにもなりかねない。

 前回WBSでは中日ドラゴンズの選手がWBCに参加することを拒否したが、もし当時の落合監督が、寒いうちから野球をやる危険性まで見抜いての措置ならたいしたものであったが…。
 実際、前回出場した当時横浜の村田修一選手が故障したのは、寒いなか無理したからであろう。彼のようなホームランバッターは、イチローのような軽打で済む選手と違って、全力で打たねばならないから、寒いうちに身体が温まらないのに力一杯のプレーをするから故障しやすい。

 選手は若いしゲーム中は汗をかいていたではないかと言われるかもしれないが、足腰は冷えていたのではないか。アメリカの球場のベンチは半地下みたいになっていて、あれじゃ地面の冷気がもろに足にあたってたまらんだろうと思われた。

 WBCがあってもなくても、プロ野球が寒いうちから選手に万全の仕上がりを要求し、競争心を煽るようなことをすることは避けるべきことである。2月3月はまだ準備運動の段階であるべきだ。マスゴミもそういう選手の身体のことを毫も配慮することなく、キャンプの練習で今日もホームランを何本打ったの打たなかったのと、大ごとのように騒ぎたてるのは、アホである。

 WBCが3月のまだ寒い時期に興行するのは、非常にまずいことである。日本と韓国だけが国威発揚みたいに頑張って意地になっているようだが、ほかのアメリカや南米の国はまだ野球をやる季節ではないと、力を入れないのではないか。そのほうが正解であろう。
 本気で勝負をしたいのなら、夏にやるべきである。

 メジャーリーグに所属する日本人ピッチャーは全員、ダルビッシュ、田中将大、前田、岩隈らは、WBC参加を取りやめている。賢い選択である。




posted by 心に青雲 at 04:00| 東京 ☀| Comment(0) | エッセイ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。